Appleが9月9日に開催する「Surprise and shine」イベントは、例年のiPhone発表会以上に重要な意味を持つ可能性がある。9月1日にティム・クック氏からCEOを引き継いだジョン・ターナス氏にとって初の大型基調講演であり、初の折りたたみiPhoneと新しいProモデルの登場が見込まれているためだ。Appleが正式に明らかにしているのは開催日とイベント名で、製品構成は報道やアナリスト予想に基づく。
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投資家にとっての論点は、折りたたみiPhoneが発表されるかどうかだけではない。超高価格帯モデルとProシリーズの値上げが、部材制約や利益率への圧力を招かずに、iPhone売上と平均販売価格(ASP)をどこまで押し上げられるかが問われる。
折りたたみiPhoneが年末商戦の売上を動かす理由
モルガン・スタンレーは、Apple初の折りたたみiPhoneが12月期の売上に約140億ドル寄与する可能性があると試算している。同行はこの端末をiPhone X以来で最大のフォームファクター変更と位置付け、発売直後の需要は強い一方で供給は限られると予測。2026年後半の生産は約700万〜800万台、最初の製品サイクル全体では最大2,000万台と見込む。
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この予測が示すのは、販売台数が比較的少なくても、非常に高い単価なら売上構成に大きく効くということだ。報道では「iPhone Ultra」と呼ばれることのある折りたたみモデルについて、価格は約2,000〜2,500ドルとされる。ただし、製品名と価格はAppleが確認したものではない。
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もっとも、売上寄与がそのまま純増分の成長を意味するわけではない。折りたたみモデルを買う人の一部は、本来ならiPhone Pro Maxを選んでいた可能性がある。CNBCが紹介したアナリスト予測では、2027年度の折りたたみモデル販売は1,400万台とされ、そのうち400万台は従来型iPhoneからの置き換えを想定している。
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Proの値上げは、Appleの価格決定力を試す
今回の発表では、Proシリーズ全体で値上げが行われても需要を維持できるかにも注目が集まる。IDCはiPhone 18 Proの開始価格が最大200ドル上昇すると予測し、GF Securitiesのジェフ・プー氏は250〜300ドル程度の上昇を見込む。背景として、半導体、RAM、ストレージのコスト上昇を挙げている。いずれもAppleが公表した価格ではなく、アナリストによる予想だ。
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原価面の環境は厳しい。TrendForceを引用した報道によると、256GB版iPhone 18 Proの部材費(BOM)は、対応する前世代モデル比で約38%高くなる可能性がある。メモリー価格の上昇に加え、2ナノメートル世代のチップ製造プロセスへの移行が要因として挙げられている。
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消費者が大幅な値上げを受け入れれば、AppleはiPhoneのASPを押し上げ、プレミアム帯でなお価格決定力を持つことを示せる。一方で、買い替えを先送りする、旧モデルを選ぶ、ストレージ容量を抑えるといった動きが強まれば、表示上の値上げが売上構成や利益率の改善にそのままつながるとは限らない。
品薄は追い風にも、リスクにもなる
発売直後の売り切れだけで、需要が例外的に強いとは判断できない。モルガン・スタンレーは折りたたみモデルの供給制約を見込んでおり、別の報道でも2026年後半の生産は700万〜800万台、7〜9月期の出荷は50万〜100万台程度にとどまるとの見方が伝えられている。
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納期が長くなる場合、主に二つの読み方がある。
- 需要主導の遅れ:予約が在庫を上回り、消費者の関心が強いことを示す。生産が増えれば売上の上振れ余地につながる。
- 供給主導の遅れ:部材や組み立て能力の制約で年末商戦中に需要を取り込めず、売上計上が後ろ倒しになる。コスト上昇を伴う可能性もある。
特に重要なのはメモリーの確保だ。DRAM・NANDの不足と先端2ナノメートル半導体の高コストは、iPhone 18 Proの値上げ観測だけでなく、生産のボトルネックになる可能性とも結び付けられている。
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57 予約の勢いだけでなく、生産計画の更新や出荷予定日の変化も確認する必要がある。
「プレミアム先行」の製品ロードマップへ
イベントではiPhone 18 Pro、iPhone 18 Pro Max、折りたたみモデルが中心となり、標準モデルのiPhone 18は後から登場するとの報道がある。
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59 この日程どおりなら、年末商戦のラインアップは、従来のように全モデルを一斉にそろえる形ではなく、高価格帯ハードウェアへ重心を置くことになる。
これはProと折りたたみモデルへの注目を集め、年末期のASPを押し上げる可能性がある反面、より手頃なモデルでの買い替え需要の一部を通常の9〜12月期以外へ先送りすることにもなる。製品構成の改善と引き換えに、業績は高価格帯の顧客が実際に買い替えるかに、これまで以上に左右される。
A20 Proチップも焦点の一つだ。報道ではTSMCの2ナノメートルプロセスとの関連が指摘されており、コスト上昇の要因になり得る。ただし、買い替えを促すには製造プロセスの数値ではなく、利用者が実感できる機能が必要だ。
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55 端末上で処理するAIについても、新端末でより高速、よりプライバシーに配慮し、より役立つ具体的な体験を示せるかが重要になる。
AAPL株にとっての意味
モルガン・スタンレーは、折りたたみiPhoneを売上の重要な触媒とみなし、「Overweight」評価と目標株価360ドルを維持している。ただし、この見通しが現実の株価上昇へつながるには、洗練された発表だけでは足りない。発売後に売上、ASP、利益率、販売台数に関する予想が上方修正されることが必要になる。
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強気シナリオでは、最高価格帯でも予約の構成が良好であること、供給が速やかに改善すること、値上げ後もPro需要が底堅いこと、AI機能が製品の差別化として説得力を持つことが鍵となる。これらがそろえば、年末期の売上見通しを引き上げる材料になり得る。
弱気シナリオは、供給制約が折りたたみモデルとProの出荷を抑える、値上げが買い替え台数を減らす、あるいは折りたたみモデルの需要の多くがPro Maxからの移行にとどまる展開だ。この場合、イベント自体が好意的に受け止められても、利益見通しの変化は小さくなり得る。
9月9日以降に確認すべき4つの指標
発表会後、実際の需要と供給のデータが出始めてからが本番となる。注目点は次の4つだ。
- 折りたたみモデルとProの予約構成:最も高い価格帯でも需要は維持されているか。
- 案内される配送予定日:待ち時間の長期化は強い注文によるものか、生産制約によるものか、それとも両方か。
- 供給・利益率に関する説明:メモリーなどの部材制約が年末期の出荷を抑える可能性について、Appleがどのような見解を示すか。
- アナリスト予想の改定:発表後、12月期の売上・粗利益率見通しは上方修正されるか。
今回のイベントは、iPhone事業における新たなプレミアム価格帯の基準を打ち立てる可能性がある。ただし、Appleの売上軌道と株価見通しを左右するのは、基調講演そのものよりも、その後の供給量と値上げ後の需要という実行力だ。