銅価格は2026年、歴史的な高値圏で推移している。背景には大きく2つの力がある。ひとつは中東情勢による短期的な供給リスク、もうひとつはAIやクリーンエネルギーによる長期的な需要拡大だ。米国とイランの和平交渉が進んでも、銅市場がすぐに落ち着くとは限らないと多くのアナリストが指摘している。
ホルムズ海峡:世界の物流を揺るがす要衝
ホルムズ海峡は、世界のエネルギー輸送の要となる海上ルートだ。中東情勢の緊張が高まると、この海峡を通る船舶の運航が制限され、エネルギーや原材料の輸送コストが上昇する。世界の石油供給の約20%がこの海峡を通過するとされ、混乱は広範な商品市場に波及する可能性がある。![]()
2026年の危機では、米国とイランの交渉が進展したとの報道が出るたびに金属市場は反応した。和平期待が高まると銅価格は一時的に下落する一方、交渉の停滞や物流の混乱が続くと再び上昇するなど、ニュース主導のボラティリティが続いている。![]()
さらに、交渉が続いていても海峡の航行は大きく制限されたままで、物流の正常化には時間がかかっていると報じられている。![]()
銅市場を左右する「硫酸」という重要資源
中東の混乱が銅価格に影響する理由の一つが、硫酸の供給だ。
硫酸は銅の精錬工程、特に低品位鉱石の処理に使われる溶媒抽出・電解採取(SX‑EW)と呼ばれるプロセスに不可欠な化学物質である。海運の混乱によって硫黄や硫酸の供給が滞ると、銅の精錬能力そのものが制約される可能性がある。
ゴールドマン・サックスの分析では、ホルムズ海峡の物流障害が長引けば硫酸供給が逼迫し、銅生産に影響が出る恐れがあると警告されている。さらに中国が硫酸輸出を制限した場合、世界の銅精錬プロセスにとって大きなボトルネックになり得るという。![]()
つまり、石油タンカーの問題から始まる地政学リスクが、結果的に銅の供給にも波及する構造になっている。
AI・電力網・再エネが生む長期需要
短期的な価格変動は地政学に左右されるが、銅の強気ストーリーの中心は長期需要だ。
銅は電化社会の基礎素材と呼ばれる。再生可能エネルギー設備、電気自動車、送電網の拡張など、あらゆる電力インフラで大量に使用される。近年はこれに加えて、AIデータセンターの建設ラッシュが新たな需要源として浮上している。
データセンターは巨大な電力設備と冷却システムを必要とし、配線や電力インフラに多くの銅を使用する。こうした「AIインフラ競争」が、銅を含む非エネルギー資源の上昇トレンドの一因になっていると分析されている。![]()
Comments
0 comments