また、国際通貨基金(IMF)も、AIによる高度なサイバー攻撃能力が金融システムの安定性を脅かす可能性があるとして警告しています 。
オーストラリアの金融規制機関であるAPRA(オーストラリア健全性規制庁)も同様に、Claude Mythosのような先端AIモデルが攻撃者に新しい能力を与える可能性があると指摘しました 。
その結果、世界の規制当局は銀行に対して次のような対策を求め始めています。
ポイントは、人間のスピードではなく「AIのスピード」で防御する必要があるという認識です 。
Anthropicが公開した Claude Mythos Preview は、サイバーセキュリティ能力に特化した高度AIとして紹介されています。
報道によれば、このモデルは主要なOSやWebブラウザを含むソフトウェアから 「数千件の重大な脆弱性」 を発見したとされています 。
さらに、OpenBSDに存在していた27年間見つからなかった脆弱性を発見した例も報告されています 。
AIが問題視されている最大の理由は、攻撃プロセスの自動化です。従来は人間の研究者が時間をかけて行っていた作業を、AIは一連の流れとして実行できる可能性があります。
例えば次のような工程です。
銀行は古いシステムや複雑なIT構成を抱えることが多く、こうしたAIツールによって弱点が見つかりやすい可能性があると専門家は指摘しています 。
ただし、Claude Mythosの能力の詳細は公開情報が限られており、報道ベースの内容も多いため、すべての技術的主張が独立して検証されているわけではありません 。
こうした状況の中で登場したのが、OpenAIのサイバーセキュリティ構想 Daybreak です。
Daybreakは、OpenAIのAIモデルとエージェント型ツール Codex Security を組み合わせ、企業が攻撃者より先に脆弱性を見つけて修正できるようにする仕組みです 。
目的は、セキュリティを「後から対応するもの」ではなく、ソフトウェア開発の初期段階から組み込むことにあります。
Daybreakでは主に次のような防御機能が想定されています。
さらにOpenAIは、サイバー防御用途に特化した GPT‑5.5‑Cyber などのモデル階層を導入し、研究者やセキュリティチームが安全にテストできる環境を提供する仕組みも整えています 。
狙いは、脆弱性が発見されてから修正されるまでの時間を大幅に短縮することです 。
Claude MythosとDaybreakの登場は、サイバーセキュリティが新しい段階に入ったことを示しています。
AIは攻撃と防御の両方を加速させます。
その結果、今後のサイバーセキュリティは どちらがより速く自動化できるか が重要になる可能性があります。
規制当局は、AIを導入するだけでは不十分だと強調しています。重要なのは、AIを安全に管理するガバナンスです。
金融機関には次のような取り組みが求められています。
近い将来、企業のソフトウェアはAIによる継続的な脆弱性探索にさらされる可能性があります。
高度AIによる脆弱性発見能力は、金融業界のサイバーセキュリティ戦略を根本から変えつつあります。
AnthropicのClaude Mythosは、AIがどれほど速くソフトウェアの弱点を見つけられるかを示しました。一方でOpenAIのDaybreakは、同じAIを防御側に活用する試みです。
最終的に攻撃側と防御側のどちらが優位に立つかは、銀行や企業がどれだけ早くAIを活用したセキュリティ体制を整えられるかにかかっています。