内訳を見ると、SCMPは税関データを引用し、中国の集積回路(IC)輸出額が4月に前年同月比で倍増し310億9,000万ドルに達した一方、数量は3.7%増の320億4,000万個だったと報じた 。つまり、単に出荷数が増えたというより、より高付加価値の電子部品やシステムが輸出を押し上げている可能性がある。
AIサーバーは、演算チップだけでは完成しない。GPUやAIアクセラレーターにHBMを近接配置し、先端パッケージングで高速に接続し、電源・冷却・基板・ソフトウェアと組み合わせて初めてデータセンター向け製品になる。
この中で最も分かりやすい詰まりがHBMだ。SemiAnalysisを引用した報道は、中国のAI半導体増強が、国内プロセッサー製造能力以上にHBM不足で制約されているケースがあると指摘している 。Deloitteも、HBMのコパッケージングツールなどが貿易障壁の影響を受ける重要技術に含まれると見ている 。
AIアクセラレーターも政策リスクを抱える。Brookingsは、米国の2022年・2023年の輸出規制が中国向けの先端AIチップと先端製造装置を制限し、それが北京の半導体自給キャンペーンを強めたと説明している 。三井物産戦略研究所の2026年分析は、米国がNvidia H200の中国向け輸出を認める一方、最先端チップの輸出禁止は続けたとし、供給網が完全に開かれたのではなく「管理されたアクセス」に近い構図を示している 。
シリコンウエハーは明るい材料だ。中国は2026年までに先端シリコンウエハーの70%超を国内調達することを目指していると報じられている 。ウエハーは半導体製造の土台であり、ここを押さえれば供給網の耐性は上がる。
ただし、ウエハーが増えても、HBM、先端パッケージング、EDA(半導体設計自動化ソフト)、露光・エッチングなどの製造装置が足りなければ、最先端のAIハードを輸出規模で増やすことは難しい 。
中国は、半導体サプライチェーンの層ごとに進展のスピードが違う。Brookingsによれば、中国は米主導の輸出規制に対応し、半導体サプライチェーンのほぼ全主要分野の国産化を進めている 。国内HBM3生産やHBM積層組立ツールの開発に向けた動きも報じられているが、その報道は完全なHBM国産化を数年単位の道のりとして描いている 。
焦点は「代替品があるか」ではなく、「最高性能品を輸出できる量で代替できるか」だ。米国の政策分析は、中国のファウンドリーはレガシー半導体では強い一方、最先端チップを相当規模で生産する能力はまだ限られると論じている 。Deloitteも、前工程・後工程、エッチング、GAAトランジスタ、EDA、HBMコパッケージングツールなどが2026年の追加的な供給網の詰まりになり得ると見ている 。
したがって、2026年に進みやすいのは、成熟ノード半導体、一部の製造材料、ウエハー、パッケージングの一部、サーバーや電子機器の組み立てだろう。一方、HBM、最先端AIアクセラレーター、先端製造装置、高度な設計・製造ツールチェーンの全面的な置き換えは、提供された証拠からは2026年中に実現するとまでは言えない 。
中国のAI関連輸出ブームは、数字の上では明確だ。2026年4月の輸出は過去最高水準に達し、AIに近い半導体・コンピューター機器が成長の大きなエンジンになった 。ただし、次の伸びを決めるのは注文の多さだけではない。HBM、先端アクセラレーター、製造装置、EDA、パッケージングという半導体スタックの難所が、成長の天井になりつつある。
国内サプライヤーは、ウエハーや成熟チップ、選択的な装置・組み立て分野で外国依存を下げる余地がある。しかし、2026年に先端メモリー、最先端アクセラレーター、先端製造装置を全面的に外国技術から置き換えられるという根拠は、現時点の資料からは弱い 。