Bitgetのグレイシー・チェンCEOは、アジアにおけるデジタル資産の流通拡大について、ブラックロックを含む大手金融機関と協議していると述べた。対象にはトークン化された上場投資信託(ETF)も含まれるという。
ただし、ここで最も重要なのは、現時点で伝えられているのが協議であって、商業提携の発表ではない点だ。ブラックロックは、同社の暗号資産ETP(取引所取引型商品)はすでにアジアで利用可能だとし、個別の拡大計画については詳細を明らかにしていない。
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協議の焦点は「アジアでの流通」にある可能性
チェン氏によると、Bitgetはウォール街の大手金融機関と、各社のデジタル資産戦略を把握し、アジア市場で協業できる余地を探っている。ブラックロックについては、地域での流通に関して緊密に意思疎通している例として挙げた。
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この表現から読み取れるのは、特定の商品をBitgetで発行・上場・販売することが決まったという話ではなく、流通チャネルや市場インフラに関する検討だということだ。ブラックロックの暗号資産ETPはすでにアジアで取引されているため、論点は「アジアに進出するか」ではなく、投資家への到達経路や商品形態をどこまで広げられるかにあるとみられる。
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Bitgetが候補になり得る理由と、越えられない規制の壁
暗号資産取引所は、取引画面、ウォレットやカストディ、流動性への接続、既存の暗号資産ユーザー基盤といった、デジタルネイティブなアクセス層を提供し得る。Bitgetはトークン化資産を含む幅広いプラットフォーム戦略を進めており、同社の公表資料では、オーストラリア、イタリア、ポーランド、ブルガリア、リトアニア、チェコ、ジョージア、英国などでの登録または認可に言及している。
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もっとも、こうした海外展開を一括りに評価することはできない。Bitgetは、必要な認可・ライセンスを得るまで、Bitget EUはEU・EEAでサービスを提供しない方針だと明言している。各国での登録は、EU全域をカバーする包括的な認可と同義ではない。
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同じことはアジアにも当てはまる。プラットフォームが地域内で利用されていることだけで、証券やファンド商品をすべての利用者に提供できるわけではない。実際に何を、どの市場で提供できるかは、商品ごとの適格性、ライセンス、開示、カストディの設計、現地の証券規制によって決まる。
ブラックロックが進めるデジタル資産戦略の実像
今回報じられた協議は、ブラックロックがトークン化とデジタル資産の業務基盤に投資している複数の動きと重なる。
BUIDLと、トークン化ファンドの実例
ブラックロックは、ブロックチェーン基盤の投資商品として「BlackRock USD Institutional Digital Liquidity Fund(BUIDL)」を挙げ、世界最大のトークン化ファンドと位置づけている。これは一般的なETFとは別の仕組みで、ファンドの持分をブロックチェーン上で表現する事例だ。
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また同社は、トークン化された持分クラス、ETF、暗号資産関連商品の統合を含む業務を担う人材を募集している。求人だけで商品ローンチが確定するわけではないが、トークン化を実務面で進める意向を示す材料にはなる。
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IBITは「トークン化ETF」とは別物
iShares Bitcoin Trust(IBIT)は、ETPという枠組みを通じてビットコインへのエクスポージャーを提供する規制商品だ。ブラックロックはこれを、世界最大かつ最も取引されているビットコインETPと説明している。
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ここは混同しないことが重要だ。ビットコインを保有または追跡するETF・ETP、BUIDLのようなトークン化されたファンド持分、そしてETFや証券そのものをブロックチェーン上で表現する仕組みは、それぞれ異なる。将来は重なり合う可能性があっても、現時点で同じ商品ではない。
シンガポールでの採用はアジア戦略の直接的な手掛かり
ブラックロックはシンガポールで、デジタル資産部門のマネージング・ディレクター職を募集した。この職務は暗号資産、ステーブルコイン、トークン化を対象とし、顧客や外部関係者と連携しながら同社の戦略策定・実行を担うものだ。
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ラリー・フィンクCEOも、不動産、株式、債券を含む資産クラス全般で、トークン化はまだ初期段階にあるとの考えを公にしている。
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資産運用会社と暗号資産プラットフォームの役割分担
今回の協議が示唆するのは、伝統金融と暗号資産業界の役割分担が接近する可能性だ。資産運用会社は既存の規制枠組みの中で投資商品を組成・運用し、暗号資産プラットフォームはブロックチェーンに適した流通、取引、ウォレット統合、そして場合によってはより連続的な移転の仕組みを担う、という構図である。
理屈の上では、トークン化は保有記録をプログラム可能にし、従来の証券会社中心のワークフローだけでなく、デジタル資産の利用環境に合わせた商品流通を可能にし得る。しかし、技術的に24時間アクセスできることと、いつでも誰でも売買・移転できることは同じではない。投資家の適格性、各国の証券規制、流動性、基準価額の評価、カストディ、決済、コンプライアンス管理は、依然として商品提供の可否と方法を左右する。
結論:確定情報は限定的だが、方向性を示す
確認できる事実は明確だ。Bitgetは、アジアにおけるデジタル資産流通を巡り、ブラックロックなど大手金融機関と探索的な対話をしている。ブラックロックも、暗号資産、トークン化、ETF、シンガポールを拠点とするデジタル資産戦略の各面で能力を構築している。
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一方、ブラックロックとBitgetの提携、ブラックロックのトークン化ETFの発行・上場は、いずれも公表されていない。現段階では完成した取引ではなく、伝統的な資産運用と暗号資産ネイティブな流通基盤が将来接続する可能性を示す動きとして捉えるのが妥当だ。