結論から言えば、GPT-5.5とClaude Opus 4.7の比較で見るべきなのは「どちらが総合的に上か」ではなく、「自分の仕事に近いベンチマークでどちらが強いか」です。LLM Statsの比較も、ベンチマークの数字は単一の万能な勝者ではなく、ワークロードごとの向き不向きを示すものだと整理しています [2]。
公開されているデータでは、GPT-5.5はターミナル操作、数学寄りの推論、BrowseComp型のWeb調査で強く見えます。一方、Claude Opus 4.7は難度の高いソフトウェアエンジニアリングと、MCP/API/外部ツールを組み合わせるエージェント用途で優位に見えます [21][
27][
28][
32]。
ベンチマーク早見表
| ベンチマーク / 領域 | GPT-5.5 | Claude Opus 4.7 | 読み方 |
|---|---|---|---|
| SWE-Bench Verified | 88.7% | 87.6% | ほぼ互角。GPT-5.5の1.1ポイント差は決定打とは言いにくいです [ |
| SWE-Bench Pro | 58.6% | 64.3% | 難しい実開発タスクではClaudeが明確にリードしています [ |
| Terminal-Bench 2.0 | 82.7% | 69.4% reported | ターミナル中心の実行ではGPT-5.5が強く見えます。ただしOpus側の公開値はソース間で扱いに差があります [ |
| MCP Atlas | 75.3% | 77.3〜79.1% | ツール呼び出しやオーケストレーションではClaudeがやや優勢です [ |
| FrontierMath Tier 1〜3 | 51.7% | 43.8% | 数学色の強い推論ではGPT-5.5がリードしています [ |
| FrontierMath Tier 4 | 35.4% | 22.9% | より難しい数学ティアでもGPT-5.5が上です [ |
| GPQA Diamond | 93.6% | 94.2% | ほぼ同等で、Claudeがわずかに上です [ |
| Humanity's Last Exam、ツールなし | 41.4% | 46.9% | 幅広い試験型推論ではClaudeが上です [ |
| Humanity's Last Exam、ツールあり | 52.2% | 54.7% | ツールあり設定でもClaudeが小さくリードしています [ |
| BrowseComp | 84.4% | 79.3% | BrowseComp型の調査ではGPT-5.5が上と報告されています [ |
特に注意して読みたいのは、Terminal-Bench 2.0とMCP Atlasです。Terminal-Bench 2.0では、LLM Statsなどの要約がClaude Opus 4.7を69.4%としていますが、別の比較ではGPT-5.5の82.7%だけを示し、Opusの公開値を出していません [1][
18][
27]。MCP Atlasでは、BenchLMの公開スナップショットがClaude Opus 4.7を77.3%、GPT-5.5を75.3%としていますが、別の報告ではClaudeの値として79.1%が引用されています [
21][
27][
32]。
それでも方向感は比較的一貫しています。ターミナルでコマンドを実行して進める作業ではGPT-5.5、複数ツールを呼び分けるエージェント設計ではClaude Opus 4.7が有力です。
コーディング:VerifiedよりProを見る
コーディング性能を比べるなら、SWE-Bench Verifiedだけで判断しない方がよいでしょう。SWE-benchは実際のGitHub Issueを解決できるかを見るベンチマークで、Proはより複雑な問題を含む難しいバリアントだと説明されています [17]。
SWE-Bench Verifiedでは、GPT-5.5が88.7%、Claude Opus 4.7が87.6%です。ここだけ見ると、実質的には横並びに近い結果です [1][
18]。
差が出るのはSWE-Bench Proです。Claude Opus 4.7は64.3%、GPT-5.5は58.6%と報告されており、Claudeが5.7ポイント上回っています [32]。Proの方が実務の難しさに近い理由もあります。ある概要では、Verifiedセットは500タスク・12のPythonリポジトリで構成される一方、Proセットは1,865タスク・41リポジトリで、Python、Go、TypeScript、JavaScriptを含み、平均変更ファイル数もVerifiedの約1からProでは4.1に増えています [
22]。
つまり、複数ファイルにまたがるバグ修正、プルリクエストの修復、リファクタリング、あるいは本番向けのコーディングエージェントを作るなら、Claude Opus 4.7を先に試す価値が高いと言えます。MindStudioの比較でも、Opus 4.7は大規模コードベース全体を見渡すアーキテクチャ寄りの推論で強いとされています [3]。
エージェントとツール:ターミナルはGPT-5.5、連携設計はClaude
ターミナル中心のワークフローでは、GPT-5.5の数字が目立ちます。Terminal-Bench 2.0では、GPT-5.5が82.7%、Claude Opus 4.7が69.4%と報告されています [18][
27]。ただし、前述の通り、Opus側の公開値を出していない比較もあるため、この行は厳密なランキングというより、方向性を示すシグナルとして読むのが無難です [
1]。
一方、ツール連携ではClaude Opus 4.7が強く見えます。MCP Atlasは、Model Context Protocol、つまり外部ツールや統合機能をモデルがどれだけうまく呼び出せるかを見るベンチマークです [21]。BenchLMの公開スナップショットでは、Claude Opus 4.7が77.3%、GPT-5.5が75.3%です [
21]。別の報告では、この比較が79.1%対75.3%として示されています [
27][
32]。
複数のAPI、社内サービス、外部ツールを順番に呼び出すエージェントを作るなら、Claude Opus 4.7を出発点にするのが自然です。逆に、シェル操作、CLIベースの自動化、段階的なコンピュータ操作が中心なら、GPT-5.5から試す方がよさそうです。
推論と調査:数学、試験型、Web調査で結果が分かれる
「推論性能」と一言でまとめると、かえって見誤ります。OpenAIのGPT-5.5の表では、FrontierMath Tier 1〜3でGPT-5.5が51.7%、Claude Opus 4.7が43.8%です。FrontierMath Tier 4でも、GPT-5.5が35.4%、Claudeが22.9%です [28]。数学寄りの推論では、GPT-5.5の優位がはっきりしています。
しかし、GPQA DiamondとHumanity's Last Examでは別の絵になります。GPQA DiamondではGPT-5.5が93.6%、Claude Opus 4.7が94.2%で、ほぼ同等です [28]。Humanity's Last ExamではClaudeが上です。ツールなしではClaudeが46.9%、GPT-5.5が41.4%、ツールありではClaudeが54.7%、GPT-5.5が52.2%と報告されています [
28]。
Web調査寄りのBrowseCompでは、GPT-5.5が84.4%、Claude Opus 4.7が79.3%と報告されています [5][
27]。ブラウジングを多用する調査自動化では、GPT-5.5を先に試す根拠になります。
どちらを選ぶべきか
GPT-5.5を先に試したいケース
- ターミナル実行、シェル自動化、CLIベースのエージェント、段階的なコンピュータ操作が中心のワークフロー。Terminal-Bench 2.0の比較ではGPT-5.5が優位と報告されています [
18][
27]。
- 数学色の強い推論タスク。FrontierMath Tier 1〜3とTier 4の両方でGPT-5.5がClaude Opus 4.7を上回っています [
28]。
- BrowseComp型のWeb調査や、ブラウジングを多用する分析。GPT-5.5は84.4%、Claude Opus 4.7は79.3%と報告されています [
5][
27]。
Claude Opus 4.7を先に試したいケース
- 複雑なコードベース変更、複数ファイルのバグ修正、SWE-Bench Proに近い難しいエンジニアリングタスク。SWE-Bench ProではClaudeが64.3%、GPT-5.5が58.6%です [
32]。
- MCP、API、外部ツールを組み合わせたエージェント。MCP Atlasのスナップショットでは、Claude Opus 4.7がGPT-5.5を上回っています [
21][
27][
32]。
- 大規模コードベースでの設計判断や構造理解が重要なワークフロー。MindStudioの比較では、Opus 4.7が大規模コードベースをまたぐ広いアーキテクチャ推論で強いとされています [
3]。
ベンチマークを読むときの注意点
公開ベンチマークの数字は、導入判断の最終回答ではありません。AnthropicはClaude Opus 4.7のリリースノートで、ハーネス変更、内部実装、採点方法の更新に触れており、一部のスコアは公開リーダーボードのスコアと直接比較できないと説明しています [19]。GPT-5.5についても、ビルダー向けの要約が、一部のベンチマークスコアはOpenAI報告値であり、第三者による再現がまだ十分ではない点を指摘しています [
31]。
実運用では、小さくてもよいので内部評価を作るのが安全です。最近のチケット、実際のリポジトリ、普段使っているツールチェーン、社内のプロンプト、合否基準を使い、両モデルを同じ条件で走らせるべきです。リーダーボードは方向を教えてくれますが、最終的なモデル選択は、ワークロード、許容できる遅延、ツール環境、失敗したときのコストで決まります。
結論
汎用的な自動化、ターミナル実行、数学寄りの推論、BrowseComp型の調査を重視するなら、GPT-5.5がよい出発点に見えます [27][
28]。一方で、主な成果物が難しいコード修正、本番向けのコーディングエージェント、複数ツールをまたぐオーケストレーションなら、Claude Opus 4.7がより強い候補です [
21][
32]。
いちばん堅い見方はこうです。GPT-5.5は広い実行力と数学・調査に強い。Claude Opus 4.7は難しいソフトウェアエンジニアリングとツールエージェントに強い。選ぶべきモデルは、ランキング表の1位ではなく、あなたの仕事に一番近い列で決まります。




