売上高を牽引したのはマーケティングサービス。AIによる広告ターゲティングと配信の最適化により、前年同期比22%増の440億元を記録した 。国内ゲーム事業は『Delta Force』などのタイトルが好調で17%増の473億元、フィンテック・法人向けサービスは9%増の603億元
。付加価値サービス全体では8%増の984億元となった
。
アナリストが最も注目したのは設備投資(キャペックス)だ。四半期の設備投資額は528億元と、前年同期比176%の急増 。その中身は、計算能力(コンピューティングパワー)、データセンター、AIモデル訓練インフラへの集中投資である。営業設備投資だけでも518億元と、190%の跳ね上がりとなった
。
テンセントは興味深い「反事実」を提示している。新AI製品(主にHunyuan(Hy)モデルファミリー、Yuanbaoアシスタント、CodeBuddy、WorkBuddy、Xiaoweiエージェント)に帰属する収益・費用・コストを除外すると、Non-IFRS営業利益は報告上の9%増ではなく、19%増の861億元に達するという 。これは、AIを除いた中核事業の成長が加速している一方、AI投資そのものは現時点では利益の重荷になっており、経営陣はこれがやがてリターンに転じると見込んでいることを示唆している。
1. インテリジェンス(モデル) —— 決算発表直前にリリースされたHunyuan Hy3プロダクションモデルは、消費者向けアプリ「Yuanbao」を含む複数の製品に展開済み。API経由およびWorkBuddyの国際版を通じてグローバルに利用可能。近くHy4へのアップグレードも計画されている 。
2. アプリケーション —— マCEOは、AIオフィス生産性向上ツール「WorkBuddy」とAIコーディング支援ツール「CodeBuddy」の2つを初期段階で成果が出ている事例に挙げた。社内外で急速にユーザーを伸ばしている 。さらに、Weixin(微信)スーパーアプリ内のエージェンティックAIプロトタイプ「Xiaowei」もテスト段階にある
。
3. インフラ —— 同社は計算能力の調達を大幅に増加。新たに追加されたキャパシティは、自社開発の大規模言語モデル訓練とAIアプリケーションの市場拡大に優先的に充てられる。2026年末から2027年にかけて、テンセントはクラウドサービス(ベアメタルGPUリースやModel-as-a-Service:MaaSなど)を強化するのに十分なGPU容量を確保する見通しだ 。
マCEOは戦略の財務的論理に自信を見せる。「我々はAIに大きな投資を行うことに抵抗はない。長期的に優れたリターンを見込めるからだ」。AIはすでにWeixin、ゲーム、広告、クラウド全体に展開され、初期のリターンを生み出していると付け加えた
。マCEOは今年初め、テンセントのこれまでのAI努力を「水漏れする船」に例え、「それでも船をもっと速く進めたい」と語っていた
。Q2決算を見る限り、同社はまさに加速しているようだ。
Q2 2026の報告書が描くのは、意図的な投資サイクルにある企業の姿だ。中核のゲーム、広告、フィンテック事業は好調に推移しているが、AI支出が一時的に利益成長とキャッシュフローを圧迫している。経営陣の主張——AIを除いた営業利益が19%伸びているという数字に裏付けられている——は、基礎的な収益力は報告上の数字よりも強い、というものだ。投資家にとっての最大の関心事は、今回のAI投資——年間換算で設備投資が約2000億元に迫るペース——が、マCEOが約束する「長期的に優れたリターン」に結びつくかどうかだろう。WorkBuddy、CodeBuddy、Hy3モデルの展開における初期の製品浸透度が、今後注目すべきデータポイントとなる。