Appleの2026年度第2四半期決算は、単なる好決算ではありません。iPhoneとサービス事業の記録更新、1,000億米ドル規模の自社株買い、そしてCEO交代という、投資家が注目する材料が同じタイミングで重なりました。
対象となるのは、2026年3月28日に終了した四半期です。Appleは売上高1,112億米ドル、前年同期比17%増、希薄化後1株利益(EPS)2.01米ドル、同22%増を発表しました。総売上高、iPhone売上高、EPSはいずれも3月締め四半期として過去最高、サービス売上高は全期間の過去最高に達したとしています[18]。
まず押さえたい点:これは4〜6月期ではない
Appleの2026年度第2四半期は、同社の会計年度上の区切りであり、2026年3月28日までの四半期を指します。日本の読者が暦年ベースで考えがちな4〜6月期ではなく、Appleがよく使うMarch quarter、つまり3月締めの四半期です[18]。
このため、今回の数字は主に2026年初めの事業環境を反映したものと見るのが自然です。
主要数字:売上高だけでなく、EPSと粗利益率も強い
| 指標 | Q2 FY2026の実績 | 見るべきポイント |
|---|---|---|
| 売上高 | 1,112億米ドル、前年同期比17%増 | 3月締め四半期として過去最高[ |
| 希薄化後EPS | 2.01米ドル、前年同期比22%増 | EPSも3月締め四半期として過去最高[ |
| 純利益 | 約296億米ドル | 第三者の決算整理で示された水準[ |
| 粗利益率 | 約49.3% | 製品・サービス構成や為替が追い風となり、一部はコスト増で相殺[ |
特に重要なのは、売上高の伸びに加えて、1株当たり利益と粗利益率も強かったことです。粗利益率の改善については、サービス事業だけで説明するのではなく、製品とサービスの構成、為替、コスト増など複数の要因を合わせて見る必要があります[1]。
iPhone:依然としてAppleの中核エンジン
Appleは公式発表で、iPhone売上高が3月締め四半期として過去最高になったと説明しています[18]。第三者の決算整理では、iPhone売上高は約569.9億米ドル、前年同期比約22%増で、iPhone 17シリーズへの需要が主な追い風とされています[
2]。
この点は大きい意味を持ちます。Appleの成長はサービス事業だけで支えられているわけではなく、ハードウェア、とりわけiPhoneの製品サイクルがなお決算全体の重要な柱であることを示しているためです[2][
18]。
サービス事業:過去最高で、成長の軸を広げる
もう一つの主役がサービス事業です。Appleは、サービス売上高が全期間の過去最高に達したと発表しました[18]。第三者の決算整理では、サービス売上高は約309.8億米ドル、前年同期比約16%増とされています[
2]。
サービス事業の伸びは、Appleの成長源が単一のハードウェア更新サイクルだけに偏らないことを示す材料になります。ただし、粗利益率の改善をすべてサービス事業の効果に帰すのは早計です。StockTitanの整理では、今期の粗利益率改善には製品・サービス構成や為替などが関係し、同時にコスト増が一部を打ち消したとされています[1]。
地域別:一つの市場だけに頼った決算ではない
Appleは、すべての地域区分で2桁成長を達成したと述べています[18]。この表現から見る限り、今回の3月締め四半期の記録更新は、特定の地域だけが押し上げたというより、より広い地域で需要が支えた決算だったと受け止められます。
一方で、今回参照できる情報は、会社全体の売上高、iPhone、サービス、株主還元、経営陣交代に重点が置かれています。地域別の詳細な内訳までは十分に示されていないため、どの市場が最大の貢献をしたかを断定するのは避けるべきでしょう[18]。
株主還元:1,000億米ドルの自社株買いと増配
Appleの取締役会は、新たに1,000億米ドルの自社株買いを承認しました。また、四半期配当を1株0.27米ドルへ引き上げています[19]。関連報道では、この配当引き上げは約4%の増配とされています[
21]。
ここで注意したいのは、自社株買いの承認額は、会社がその枠内で株式を買い戻せるという意味であり、その全額をすぐに使い切ったという意味ではないことです。投資家にとってのポイントは、Appleが過去最高水準の3月締め四半期を出しながら、引き続き自社株買いと配当を通じた株主還元を重視している点にあります[18][
19][
21]。
経営陣交代:Tim Cook氏は会長職へ、John Ternus氏がCEOに
今回の決算は、Appleの経営体制が大きく変わる局面とも重なっています。Appleは、Tim Cook氏が2026年9月1日付で取締役会のエグゼクティブ・チェアマンに就き、ハードウェアエンジニアリング担当シニアバイスプレジデントのJohn Ternus氏がCEOに就任すると発表しました[26]。
この移行は取締役会で全会一致により承認され、長期的な後継計画の一部と説明されています。Cook氏は夏の間CEOを続け、Ternus氏とともに円滑な移行に取り組む予定です[26]。財務面では、MarketBeatの決算説明会要点によると、CFOのKevan Parekh氏が引き続き財務リーダーシップを担うとされています[
24]。
市場が見るべきなのは、Cook氏の時代が終わるという見出しだけではありません。新CEOのもとで、製品開発のテンポ、財務規律、株主還元方針がどこまで継続されるかが焦点になります。
次の注目点:供給制約、メモリーコスト、粗利益率
好調な決算の一方で、次の四半期には注意すべき要素もあります。MarketBeatの決算説明会要点では、経営陣が供給制約に言及しており、主にiPhone、さらに一部Macモデルにも影響が広がりつつあるとされています。また、メモリーコストの上昇が利益率に圧力をかける可能性も指摘されています[24]。
同じ要点整理では、Appleの6月締め四半期見通しとして、売上高成長率14〜17%、粗利益率47.5〜48.5%が示されています[24]。今回の粗利益率約49.3%と比べると、次の焦点は、コストと供給の制約がどの程度利益率を押し下げるかになります[
1][
24]。
投資家向けの結論
Appleの2026年度第2四半期は、非常に強い内容でした。売上高は1,112億米ドル、希薄化後EPSは2.01米ドルで、総売上高、iPhone売上高、EPSが3月締め四半期として過去最高となり、サービス売上高も全期間の過去最高を更新しました[18]。
同時に、1,000億米ドルの自社株買い、増配、そしてCook氏からTernus氏へのCEO交代という大きな企業イベントも重なりました[19][
21][
26]。
今回の決算が示した核心は、AppleがなおiPhoneサイクルとサービス事業の拡大を両輪に成長できているということです。次に確認すべきなのは、iPhone需要が続くか、サービス事業がさらに最高値を更新できるか、そして供給制約やメモリーコストの上昇が粗利益率にどれほど影響するかです[18][
24]。




