一見すると、61%と2%という数字は矛盾しているように見えます。しかし、測っているものが違います。
つまり、ある会社で多くの社員がAIを使って文章の下書きを作ったり、資料を要約したり、日常業務を効率化したりしていても、その会社が全社的なルール、データ管理、リスク管理、効果測定、部門横断の導入体制を整えているとは限りません。このずれこそが、香港のAI導入を読むうえでの核心です。
さらに、AIを使っている香港の労働者のうち、77%が生産性の向上を感じ、75%が仕事の質の向上に役立っていると回答しています。 少なくとも現場では、AIの実用価値を感じている人が少なくないということです。
香港をAI導入の全面的な先進地と呼びにくい理由は、企業準備度にあります。
サウスチャイナ・モーニング・ポストが報じたCisco調査では、香港でAI導入に完全に準備できている組織は2%にとどまり、調査対象30市場の中で最低でした。また、AI導入に関する複数の指標で同業他社を上回る「pacesetters」とされた香港組織も約2%で、世界全体の13%を下回りました。
企業の業務導入を見ても、同じように二面性があります。China Daily HKが報じた調査では、香港企業の85%が業務にAIを採用または統合している一方、この比率はアジアの他地域の93%を下回りました。
KPMGのデータでは、AIを広範に展開している香港組織の割合は2025年の8%から2026年の24%へ上昇しています。 進展は確かにありますが、それでも24%という数字は、多くの組織がまだ広範な展開段階には達していないことも示しています。
日本企業でも同じですが、AI導入を評価するときに「使っている人が多いか」だけを見ると、企業の成熟度を過大評価しやすくなります。より実務的には、AIが管理可能で、測定可能で、拡張可能な業務プロセスに組み込まれているかを見る必要があります。
たとえば、次のような点です。
しかし、AI導入を「企業が成熟した形で、全社的に、十分な準備をもって展開しているか」と定義するなら、香港はまだ先行しているとは言えません。Cisco調査では、AI導入に完全に準備できている香港組織は2%にとどまり、調査対象30市場で最低でした。
より信頼しやすい読み方は、社員がどれだけ使っているか、企業がどれだけ広範に展開しているか、組織として本当に準備できているかを分けて見ることです。その枠組みで見る限り、香港の現在地はかなり一貫しています。利用熱は高い。ただし、企業成熟度がボトルネックになっている、ということです。
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