これは、過去の見通しからの劇的な上方修正です。2025年9月時点では、モルガン・スタンレーは2027年のこの比率を26%と予測しており、それはITバブルのピークに「迫る」と表現されるレベルでした 。わずか数ヶ月でのこの急激な数字の変更は、AI投資競争がいかに激化しているかを物語っています。
比較対象として、現在の投資強度は、アメリカのシェールオイル・ブーム時に見られた約20%という比率さえも凌駕しています 。モルガン・スタンレーの分析によれば、たった一握りの米国テクノロジー企業が、今や米国経済全体に匹敵するほどの金額を資本財に投じようとしているのです
。
モルガン・スタンレーの設備投資予測の推移自体が、この過熱ぶりを如実に示しています。ちょうど1年前、同行はハイパースケーラー5社の設備投資合計を2026年、2027年ともに約4500億ドルと予測していました 。ところが、その見通しは現在、2倍以上に跳ね上がっています。
2027年の数字は、このグループが2024年に費やした額の4倍以上に相当します 。2025年に前年比70%増という急成長を遂げた後も、ハイパースケーラーの設備投資は加速を続け、2028年までに累積で2兆ドル(約290兆円)が追加で投じられる見通しです
。ブライアン・ノワク氏率いるモルガン・スタンレーの株式アナリストチームは、第1四半期の決算発表後に、これらの大幅に引き上げられた数字を正式にモデルに組み込んでいます
。
巨額の設備投資は、巨大な減価償却という「つけ」を将来に先送りしているに過ぎません。モルガン・スタンレーは、その規模について、やや重複する2つの衝撃的な数字を提示しています。
企業別の予測はさらに生々しい現実を突きつけます。アルファベットの減価償却費は2028年末までに4倍に膨れ上がる可能性があり 、オラクルに至っては、2025年に約40億ドルだった減価償却費が、2029年には最大560億ドル(約8.2兆円)にまで膨張し、これは市場コンセンサスによる売上高予想の約28%に相当すると試算されています
。
これらの費用が見逃せない理由は、これらが損益計算書を直接的に通過し、利益率を圧迫し、報告利益を目減りさせるからです。英国のフィナンシャル・タイムズ紙はこの構造を、ビッグテックの「買ってから帳簿に付ける問題(Buy-Now-Book-Later Problem)」と痛烈に表現しました 。
5社の中で、最も深刻な財務圧力に晒されるのがオラクルです。同社の減価償却費の対売上高比率は、今後数年間で約7%から**28%**へと急上昇すると予測されています 。これは、同業他社と比較してオラクルの収益基盤が小さいため、同じ金額のインフラ減価償却であっても、売上高に占める割合が格段に大きくなるためです。モルガン・スタンレーのアナリストは、オラクルこそが、AI向けの重いインフラ投資と、それによって得られる収益とのミスマッチが、財務諸表上で最も明白に現れる企業であると指摘しています
。
公表されている設備投資の数字は、真の財務リスクを過小評価している可能性があります。モルガン・スタンレーは、ファイナンスリースの影響で、実質的な対売上高設備投資比率が、表面化している数字よりもさらに高い水準に押し上げられていると指摘しています 。さらに深刻なのは、テクノロジー企業が、この2年足らずの間に1200億ドル(約18兆円)以上ものデータセンター支出を、特別目的会社(SPV)などの仕組みを使ってバランスシート(貸借対照表)から切り離し、簿外化してきたという事実です。これは、隠れたレバレッジ(借入依存度)と訴訟リスクを生み出しています
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ムーディーズ・レーティングスもまた、別の角度から警鐘を鳴らしています。米国のハイパースケーラー上位5社は、**6620億ドル(約97兆円)**もの、まだ開始されていない「将来のデータセンターリース契約」を抱えており、これらは現行の会計ルール上は負債として計上する義務がないため、完全に簿外に置かれていると指摘しています 。このような簿外金融手法には、米国上院議員からも厳しい視線が向けられており、外部投資家が資金を出してデータセンターを建設・所有し、それをテクノロジー企業がリースバックするというスキームが、特に問題視されています
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ハイパースケーラー各社は、この巨大な構築計画を、本業の営業キャッシュフローだけで賄うことは到底できません。モルガン・スタンレーは、2028年までに世界のデータセンター建設・整備に約**2.9兆ドル(約425兆円)**が必要となり、**1.5兆ドル(約220兆円)**もの資金ギャップが生じ、それを外部資本で調達しなければならないと試算しています 。その調達手段の内訳は以下のように予測されています。
既に債務の発行は急増しています。2025年だけでも、ハイパースケーラー各社はデータセンター建設の資金として、1000億ドル(約15兆円)以上の投資適格債を発行しました 。モルガン・スタンレーは、このグループによる純債務の発行額が2026年には約30%から50%増加し、1300億ドルから1500億ドルに達する可能性があると予想しています
。ロイター通信によれば、AIとデータセンターに関連する年間の債務発行額は、2023年の1660億ドルから、2025年には6250億ドルへと急拡大しました
。JPモルガンは、ビッグテック関連の新規債務総額を、27の発行体で4550億ドルと見積もっており、そのうち3570億ドルがハイパースケーラー5社による直接借り入れだとしています
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モルガン・スタンレーのレポートは、いくつかの重苦しい歴史との類似性を指摘しています。
モルガン・スタンレー・ウェルス・マネジメントの最高投資責任者(CIO)であるリサ・シャレット氏は、AI投資ブームに「亀裂」が生じていると警告し、生成AI(GenAI)投資の持続可能性こそが、投資家にとって来るべき1年の最重要課題であると述べました。同氏は次のように警鐘を鳴らしています。「市場が織り込むシナリオという観点で言えば、我々は『1回表』よりも、むしろ『7回裏』に近いところにいると考えている」 。
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