イーサリアムの提案「EIP-8363(Tapered Issuance Burn)」は、2026年8月4日に公開された。イーサリアム財団の研究者ジャスティン・ドレイク氏やEthCC共同創設者のジェローム・ド・ティシェ氏らが著者に名を連ねる。このメカニズムは、総ETHのステーキング量が増えるにつれて、各バリデーターのコンセンサスレイヤー報酬のうち焼却(バーン)される割合を徐々に引き上げるというもの。発行済みETHの約50%(約6025万ETH)がステーキングされた時点で、焼却率は100%に達し、バリデーターはプロトコルからの新規発行報酬を実質得られなくなる。
現在のステーキング比率は供給量の約3分の1であるため、コンセンサスレイヤーの利回りは現行の約2.6%から約1.2%に低下する見込みだ。この利下げは、承認されれば18ヶ月かけて段階的に実施され、ステーカーには約2年間の調整期間が与えられる。重要な点として、最大抽出可能価値(MEV)や優先手数料は影響を受けず、バリデーターはこれらの収入源から引き続き利益を得られるが、プロトコル発行による報酬は飽和閾値で消失する。
グレイスケールは、EIP-8363が既存のバーンメカニズムと組み合わさることで、ETHの年間供給インフレ率は2031年までに約0.4% まで低下し、ビットコインの水準に近づくと予測している。
ソラナでは、Heliusのエンジニアらが提出した相互に関連する2つのガバナンス提案——SIMD-0550とSIMD-0553——が審議されている。
ソラナの現在のインフレスケジュールは、年間インフレ率を毎年15%ずつ引き下げ、2032年ごろに1.5%の最終目標に到達するように設計されている。SIMD-0550は、このテーパリング率を年間30% に倍増させるものだ。開始時の8%、目標の1.5%の数値は変わらないが、目標達成までの期間が約3年早まり(2032年前半から2029年前半)、6年間で推定1890万SOL(現在の価格で約13.6億〜15億ドル相当)の将来発行量が削減される見込みだ。Heliusのモデリングによれば、6年後の総SOL供給量は現行スケジュールと比較して約2.6%少なくなる。
一方、関連提案であるSIMD-0553は、手数料構造を見直し、日々のSOL焼却量を最大14倍に引き上げる。現在は1日あたり約650 SOL(約4.7万ドル)だが、これが7500〜9000 SOL(最大65万ドル)に増加する可能性がある。Temporalによる両提案の複合効果分析では、2029年までにネット全体の年間純供給増加率が約1.05%にまで低下し、ソラナが目標とする1.5%を下回ると試算されている。
グレイスケールは、これらの提案が実施された場合、SOLの年間インフレ率は2031年までに約1.1% に低下すると見積もっている。
イーサリアム——EIP-8363に強い反発: この提案は多方面から激しい批判を浴びている。SharpLinkのCEOジョセフ・チャロム氏は、ETHがビットコインに対して持つ最大の利点の一つであるネイティブな利回りを消し去る可能性があると警告した。Messariのアナリストは、この変更がステーカーに新たな経済的不確実性をもたらすと指摘している。
さらに、分散化を重視する立場からは、ステーキング報酬の低下が小規模なソロバリデーターを淘汰し、薄利多売が可能な大手上場ステーキングプールへのネットワーク支配力集中を招くとの懸念も上がっている。現時点で、この提案はドラフト段階であり、8月6日の全コアデベロッパーコンセンサスコールで議論されたものの、今後のハードフォークへの組み込みは未定である。
ソラナ——ガバナンス投票が進行中: 2026年8月上旬時点で、SIMD-0550とSIMD-0553はアクティブなバリデータ投票ウィンドウにあり、残り約10日間となっている。バリデーターの意見は割れている。SOLの希少性を高めるための早期ディスインフレを支持する声がある一方で、ステーキングインセンティブの低下がネットワークのセキュリティを弱めることを懸念する声も根強い。まだいずれの提案も可決には至っていないが、アクティブステークの10%という最初の支持基準はクリアしている。
グレイスケールによると、ソラナの提案はイーサリアムのEIP-8363と比較して、コミュニティ内でより広範な合意が得られつつあるという。
インフレ率低下の最も直接的な影響は、ステーキング報酬の減少である。グレイスケールは、新しいトークンの発行量が減れば、両ネットワークのステーカーが得る名目上の報酬も減少することを明確に指摘している。
| 指標 | イーサリアム(EIP-8363) | ソラナ(SIMD-0550) |
|---|---|---|
| ステーキング利回りへの影響 | 段階的に低下。ETHの50%がステークされると純利回りは0%に近づく | インフレ率が年30%で低下するため、ステーキング報酬の減少が加速 |
| ステーク量への影響 | 50%を超えてステークするインセンティブが消失。ステーキング比率が頭打ち、または減少する可能性 | バリデーターが受け取る新規SOLが減少。限界的なステーカーは退出する可能性 |
| バリデーターの総収入 | コンセンサス報酬のバーン率上昇により減少 | 年間発行量減少により減少。ただし、SIMD-0553による手数料バーンが収入を一部補填する可能性 |
ETHステーカーにとって、利回りの圧縮は構造的なものだ。ステーキング比率が上昇するにつれて、報酬の焼却率も上昇する構造である。SOLステーカーの場合、SIMD-0553による手数料バーン収入が発行収入の減少を一部相殺できる可能性があるが、それでも純効果としては名目報酬の低下が見込まれる。
ステーカーにとって: 新規トークンの発行量が減少するため、ETH、SOLともに名目上の報酬が低下する。ETHステーカーはより厳しい構造的上限制約に直面する一方、SOLステーカーはより急速なディスインフレに直面するが、SIMD-0553が同時に承認されれば手数料バーン収入の増加によってある程度緩和される可能性がある。
非ステーキングホルダーにとって: 相対的なメリットは向上する。ステーカーとは異なり利回り低下の影響を直接受けず、供給の希少性からフルに恩恵を受ける。市場に出回る新規供給量が減少するため、ロックアップの必要もなく、時間の経過とともに自身の保有比率が薄まる度合いも小さくなる。
グレイスケール・リサーチ責任者のザック・パンドル氏は、供給側の変更が承認されれば、希少性の向上により「価格に対して支援的な効果をもたらす可能性がある」と直接述べている。論理は単純だ。新規トークンの発行が少なければ、一定の需要があった場合に価格にかかる上昇圧力は大きくなる。
しかし、Galaxy Researchの副社長ルーカス・チェイヤン氏はこれに反論し、価格を最終的に決めるのは需要であって供給コントロールではないと指摘。インフレ率が低いだけでは価格上昇は保証されないと述べている。グレイスケール自身も「可能性がある」「潜在的」といった条件付きの表現を用いており、議論が進行中でまだ実装されていない以上、予測されたインフレ率は確約されたものではない。
両提案が承認された場合、ETHとSOLのインフレ率は2031年までに金の約1.8%、米国CPIの約3.3%をそれぞれ下回ることになる。この希少性が実際に価格上昇につながるかどうかは、需要がそれに追いつくかどうかにかかっている。
イーサリアムの提案「EIP-8363(Tapered Issuance Burn)」は、2026年8月4日に公開された。イーサリアム財団の研究者ジャスティン・ドレイク氏やEthCC共同創設者のジェローム・ド・ティシェ氏らが著者に名を連ねる。このメカニズムは、総ETHのステーキング量が増えるにつれて、各バリデーターのコンセンサスレイヤー報酬のうち焼却(バーン)される割合を徐々に引き上げるというもの。発行済みETHの約50%(約6025万ETH)がステーキングされた時点で、焼却率は100%に達し、バリデーターはプロトコルからの新規発行報酬を実質得られなくなる。
現在のステーキング比率は供給量の約3分の1であるため、コンセンサスレイヤーの利回りは現行の約2.6%から約1.2%に低下する見込みだ。この利下げは、承認されれば18ヶ月かけて段階的に実施され、ステーカーには約2年間の調整期間が与えられる。重要な点として、最大抽出可能価値(MEV)や優先手数料は影響を受けず、バリデーターはこれらの収入源から引き続き利益を得られるが、プロトコル発行による報酬は飽和閾値で消失する。
グレイスケールは、EIP-8363が既存のバーンメカニズムと組み合わさることで、ETHの年間供給インフレ率は2031年までに約0.4% まで低下し、ビットコインの水準に近づくと予測している。
ソラナでは、Heliusのエンジニアらが提出した相互に関連する2つのガバナンス提案——SIMD-0550とSIMD-0553——が審議されている。
ソラナの現在のインフレスケジュールは、年間インフレ率を毎年15%ずつ引き下げ、2032年ごろに1.5%の最終目標に到達するように設計されている。SIMD-0550は、このテーパリング率を年間30% に倍増させるものだ。開始時の8%、目標の1.5%の数値は変わらないが、目標達成までの期間が約3年早まり(2032年前半から2029年前半)、6年間で推定1890万SOL(現在の価格で約13.6億〜15億ドル相当)の将来発行量が削減される見込みだ。Heliusのモデリングによれば、6年後の総SOL供給量は現行スケジュールと比較して約2.6%少なくなる。
一方、関連提案であるSIMD-0553は、手数料構造を見直し、日々のSOL焼却量を最大14倍に引き上げる。現在は1日あたり約650 SOL(約4.7万ドル)だが、これが7500〜9000 SOL(最大65万ドル)に増加する可能性がある。Temporalによる両提案の複合効果分析では、2029年までにネット全体の年間純供給増加率が約1.05%にまで低下し、ソラナが目標とする1.5%を下回ると試算されている。
グレイスケールは、これらの提案が実施された場合、SOLの年間インフレ率は2031年までに約1.1% に低下すると見積もっている。
イーサリアム——EIP-8363に強い反発: この提案は多方面から激しい批判を浴びている。SharpLinkのCEOジョセフ・チャロム氏は、ETHがビットコインに対して持つ最大の利点の一つであるネイティブな利回りを消し去る可能性があると警告した。Messariのアナリストは、この変更がステーカーに新たな経済的不確実性をもたらすと指摘している。
さらに、分散化を重視する立場からは、ステーキング報酬の低下が小規模なソロバリデーターを淘汰し、薄利多売が可能な大手上場ステーキングプールへのネットワーク支配力集中を招くとの懸念も上がっている。現時点で、この提案はドラフト段階であり、8月6日の全コアデベロッパーコンセンサスコールで議論されたものの、今後のハードフォークへの組み込みは未定である。
ソラナ——ガバナンス投票が進行中: 2026年8月上旬時点で、SIMD-0550とSIMD-0553はアクティブなバリデータ投票ウィンドウにあり、残り約10日間となっている。バリデーターの意見は割れている。SOLの希少性を高めるための早期ディスインフレを支持する声がある一方で、ステーキングインセンティブの低下がネットワークのセキュリティを弱めることを懸念する声も根強い。まだいずれの提案も可決には至っていないが、アクティブステークの10%という最初の支持基準はクリアしている。
グレイスケールによると、ソラナの提案はイーサリアムのEIP-8363と比較して、コミュニティ内でより広範な合意が得られつつあるという。
インフレ率低下の最も直接的な影響は、ステーキング報酬の減少である。グレイスケールは、新しいトークンの発行量が減れば、両ネットワークのステーカーが得る名目上の報酬も減少することを明確に指摘している。
| 指標 | イーサリアム(EIP-8363) | ソラナ(SIMD-0550) |
|---|---|---|
| ステーキング利回りへの影響 | 段階的に低下。ETHの50%がステークされると純利回りは0%に近づく | インフレ率が年30%で低下するため、ステーキング報酬の減少が加速 |
| ステーク量への影響 | 50%を超えてステークするインセンティブが消失。ステーキング比率が頭打ち、または減少する可能性 | バリデーターが受け取る新規SOLが減少。限界的なステーカーは退出する可能性 |
| バリデーターの総収入 | コンセンサス報酬のバーン率上昇により減少 | 年間発行量減少により減少。ただし、SIMD-0553による手数料バーンが収入を一部補填する可能性 |
ETHステーカーにとって、利回りの圧縮は構造的なものだ。ステーキング比率が上昇するにつれて、報酬の焼却率も上昇する構造である。SOLステーカーの場合、SIMD-0553による手数料バーン収入が発行収入の減少を一部相殺できる可能性があるが、それでも純効果としては名目報酬の低下が見込まれる。
ステーカーにとって: 新規トークンの発行量が減少するため、ETH、SOLともに名目上の報酬が低下する。ETHステーカーはより厳しい構造的上限制約に直面する一方、SOLステーカーはより急速なディスインフレに直面するが、SIMD-0553が同時に承認されれば手数料バーン収入の増加によってある程度緩和される可能性がある。
非ステーキングホルダーにとって: 相対的なメリットは向上する。ステーカーとは異なり利回り低下の影響を直接受けず、供給の希少性からフルに恩恵を受ける。市場に出回る新規供給量が減少するため、ロックアップの必要もなく、時間の経過とともに自身の保有比率が薄まる度合いも小さくなる。
グレイスケール・リサーチ責任者のザック・パンドル氏は、供給側の変更が承認されれば、希少性の向上により「価格に対して支援的な効果をもたらす可能性がある」と直接述べている。論理は単純だ。新規トークンの発行が少なければ、一定の需要があった場合に価格にかかる上昇圧力は大きくなる。
しかし、Galaxy Researchの副社長ルーカス・チェイヤン氏はこれに反論し、価格を最終的に決めるのは需要であって供給コントロールではないと指摘。インフレ率が低いだけでは価格上昇は保証されないと述べている。グレイスケール自身も「可能性がある」「潜在的」といった条件付きの表現を用いており、議論が進行中でまだ実装されていない以上、予測されたインフレ率は確約されたものではない。
両提案が承認された場合、ETHとSOLのインフレ率は2031年までに金の約1.8%、米国CPIの約3.3%をそれぞれ下回ることになる。この希少性が実際に価格上昇につながるかどうかは、需要がそれに追いつくかどうかにかかっている。