中東からの原油供給が回復しているのに、なぜ原油価格は上がるのか。ポイントは、足元の供給量だけでなく、在庫の少なさと「再び供給が滞るかもしれない」というリスクも価格に織り込まれることです。
ゴールドマン・サックスのダーン・ストルイベン氏によると、製油会社は原油を確保できるうちに買い進めていました。低水準の在庫を補充したい需要に加え、投資家が中東情勢の再悪化に備えて原油をヘッジに使ったことも、価格を押し上げました。ブレント原油は10月23日に1バレル116.72ドルで終了し、前日比3.14%高、4月29日以来の高値となりました。
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供給が戻っても、製油会社が買い急ぐ理由
輸出が回復しても、在庫が十分に積み上がったとは限りません。また、今後の輸送や供給が確実になったわけでもありません。ストルイベン氏は、中東で船舶への攻撃が激しくなり、フーシ派によるインフラ攻撃もあったことで、製油会社の供給不安が強まったと説明しています。在庫が少ない状況では、次の混乱が起きる前に原油を確保する動きが出やすくなります。
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懸念された出来事のすべてが、実際の生産減少を意味するわけではありません。ロイターは、サウジアラビアへのフーシ派の攻撃と、UAE当局が報告した油流出が、さらなる供給混乱への懸念を強めたと伝えました。フーシ派は、ヤンブーのアラムコ施設などを標的にしたと主張していますが、その主張だけで施設の損傷や原油生産の減少が確認されたことにはなりません。
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投資家はなぜ原油をヘッジに使うのか
買い手は製油会社だけではありませんでした。ポッドキャストの説明によると、投資家もポートフォリオを守る手段として原油への投資を増やしました。株式や債券の価格が原油価格の変動に敏感になっている局面では、供給ショックが市場に与える影響に備え、原油をヘッジとして持つ動きが出ます。足元の原油フローが改善していても、将来の供給リスクへの備えは別に必要だという考え方です。
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米国がイランへの攻撃を再開する可能性があるとの見方も、市場の警戒材料になりました。ただし、報じられたのは再開への予想であり、攻撃が確定したということではありません。価格には、現に生産・輸送されている原油だけでなく、これから起こり得る事態への懸念も反映されました。
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10月23日の上昇が示したこと
ブレント原油は10月23日、前日から3.55ドル(3.14%)上昇し、1バレル116.72ドルで終了しました。ロイターによると、これは4月29日以来の高値で、週の上昇率は6%でした。
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こうした数字は市場の値動きを示すもので、報じられた攻撃や油流出によって、同じ規模の供給減がすでに起きたことを示すわけではありません。供給への不安が強まれば、実際の減産が確認される前から価格が動くことがあります。
ゴールドマンがなお価格下落を見込む理由
ゴールドマン・サックスの予測は、中東からの供給が徐々に回復することを前提としています。同社はブレント原油の2026年12月の予測を従来の85ドルから90ドルに引き上げ、2027年の平均価格を80ドルと見込んでいます。いずれも確定した価格ではなく、想定どおり供給が回復するかどうかに左右される予測です。
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ストルイベン氏は10月の分析で、供給が減少し在庫がさらに取り崩される可能性への備えとして、ブレントの現物価格には1バレル当たり約25ドルのリスクプレミアムが含まれていると推定しました。つまり、市場価格には、同社の需給見通しに基づく適正価値を上回る「供給が途絶えるかもしれない」という上乗せ分があるということです。供給回復が続けばプレミアムが縮小する可能性がある一方、攻撃やインフラ損傷が拡大すれば、高止まりしたり、さらに上乗せされたりする可能性もあります。
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原油の回復と石油製品の回復は別
原油の輸出が回復しても、軽油などの石油製品が同じペースで戻るとは限りません。国際エネルギー機関(IEA)は10月の報告書で、中東からの石油製品と液化石油ガス(LPG)の出荷は、原油の流れより回復が遅く、戦前の半分を下回る水準にとどまっているとしました。
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これは石油製品の輸出回復が遅れていることを示します。ただし、参照できる数値だけでは、地域の製油所の損傷や、ウクライナによるロシアの軽油生産への攻撃がそれぞれどの程度影響したかまでは確認できません。
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要するに、原油の供給回復と価格上昇は矛盾しません。買い手は、現在の在庫の薄さに対応しながら、将来の供給途絶にも備えています。ゴールドマンの価格下落見通しは供給回復を前提とし、価格上昇のリスクは、その回復を妨げる事態が起きるかどうかにかかっています。
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