データセンター建設は、それ自体がGDPを押し上げ、雇用を生む経済活動です。一方で世界経済フォーラムは、バブル環境では完成後の経済的成果が期待外れになり得るとも指摘しています。建設中は景気を支えても、需要や収益が想定を下回れば、その後の投資反動は大きくなります。
下押し幅には不確実性があります。Futu Newsが紹介したIMF見通しでは、AI投資が減少した場合、世界経済成長率を約0.4ポイント押し下げる可能性があるとされています。これは2兆ドルの評価損をGDPに単純換算した数字ではなく、投資減速と資産価格調整を通じた成長率への影響として見るべきです。
AIバブル崩壊が痛みを伴う株式調整で終わるのか、より深い金融不安に発展するのかを分けるのはレバレッジです。
株式やベンチャー資金で支えられたブームなら、損失は主に株主、ベンチャー投資家、従業員のストックオプションに集中します。しかし、データセンターや電力関連の大型案件が債務で支えられている場合、問題は株価ではなく返済能力になります。
Oliver Wymanは、J.P. Morganの推計として、AI関連のデータセンター、エネルギー事業、AIサプライチェーンの開発には2030年までに6兆ドル超の資金が必要になると紹介しています。同記事は、その投資の一部で債務依存やオフバランスシート化が進んでいるとも指摘しています。
この場合、担保価値の下落、借り換え難、貸し手の損失が重なり、AI以外の企業にも資金調達難が広がる恐れがあります。信用収縮が起きるかどうかが、景気減速の深さを左右します。
雇用面では、まずAIスタートアップ、ソフトウェア、クラウド、半導体関連など、成長前提で採用してきた企業が影響を受けやすくなります。次に、データセンター建設や電力インフラなど、AI投資を支えてきた周辺産業にも波及します。AI需要はサーバー、データセンター、ソフトウェア、電力インフラを押し上げてきたため、投資計画が止まれば関連する雇用も調整圧力を受けます。
重要なのは、バブル崩壊と技術そのものの失敗を分けて考えることです。過大な評価額や採算の合わない投資は整理されても、実用的なAI導入は続く可能性があります。
強気側の見方として、世界経済フォーラムは、AIが米国で4.5兆ドル相当の業務を潜在的に担える可能性があるとの研究を紹介しています。ただし、これは潜在的な業務量であり、そのすべてが利益や生産性向上として実現することを保証するものではありません。バブル崩壊後は、より厳しい収益見通しとインフラコストのもとで、使えるAIと使えないAIが選別される局面になりそうです。
AIバブル崩壊の影響を見るなら、株価指数だけでは不十分です。注目すべきは次の指標です。
結論として、2兆ドル規模のAIバブル崩壊は、GDPを同額だけ減らす出来事ではありません。しかし、AIブームがIT投資、データセンター、電力インフラ、サプライチェーンを押し上げている以上、逆回転は実体経済に波及し得ます。金融危機級になるかどうかは、AIインフラ投資の債務依存度と、AIが企業収益や生産性を実際に押し上げられるかにかかっています
。